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作品集

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ノンchan家

設計者
小西永高
用途
戸建住宅
竣工
2004年
壁断熱
GW換算 120mm
屋根断熱
GW換算 240mm
ノンちゃんはお嬢さんの名前です。

この夢の計画はノンちゃんを中心に家族が集まり、家族を中心に親戚や仲間があつまるという、人が集う空間造りを基本に計画がスタートしました。(実はこの計画がはじまった、土地探しの時にはノンちゃんはまだおなかの中、竣工時2歳)

人が集まるというコンセプトは建築中の現場からすでに始まり、 1階フロアーになる部分にはイタリアから直輸入された、テラコッタ風タイルを貼るため、 家族・友人・親戚・そして設計士達までもノンちゃん家に集まり、2週分の休日を利用し、7名が楽しみながらも、苦悩し、真剣に貼りあげました。

セルフビルドは各所で行われましたが、その中でも全室壁天井の珪藻土塗りは、これだけの人がよく集まったと言えるくらいの仲間の数で行われました。

本職の職人さんでもかなり時間のかかる作業ですので、休日だけの作業では限りがあり、各々時間があるときは、自然に入れ替わり立ち代わり出入りし、完成させました。

家族・親戚・仲間・設計士とも思い入れのある空間は、その後の集まりでもすぐに癒しの空間となり、「ここはおれがぬったんだ、そっちよりいいだろ!」とか「タイルは少しガタガタの方が味がある」などの話題に話しがはずみます。

人が集う事を中心コンセプトに計画された間取りは、その事をよく知っている施主が考えたアイディアで、『男空間』『女空間』『半プライベート空間』に分けました。

人が集まって、時間が経つと自然に男性と女性に分かれて話しがはじまる。

男性は火のそばの穴ぐらに、女性は片つけのためキッチン回りに、そして子供達は中2階にある杉床スキップフロアーの半プライベート空間で、 テレビゲームをしているとの話しです。

いつでもパーティーができるように、業務用のビールサーバーも 女性空間の中心にある、アイランドキッチンに設置されました。

現在計画は60%完成と施主は言います。

まだまだやりたいことはいっぱいあるそうです。 庭づくり・車庫など、今年もやることがいっぱいあるそうで、 また、多くの仲間が集まる事でしょう。 我々もまたまた、参加する予定です。

施主の家に対するこだわりと人間性は、皆疲れているセルフビルド作業にも 奥さんがくるとパァと明るくなり、なんだかそこにいるみんなが参加したくなる『ノンちゃん家』なのです。


●動線と間取り配置について、設計者から

間取り計画のもっとも重要なところは動線ですが、 動線は計画ごとに住まわれる方の価値観が違い、それに合わせたものになります。

ノンちゃん家は人が集うことを中心に考えていますので、 パーティーが出来るパブリック動線と、住宅というプライベート動線とを明確に分け、親戚なども集まることから、中間的な部分として中2階にTV・オーディオ・ソファなどを設置し、 リラックスゾーンとしました。

動線の中心には最もこの家での作業時間の長い、ワークゾーンであるキッチンを配置し、 そこから、おのおの作業空間をとおり、リラックス的な風呂や、薪ストーブリラックスゾーン、 中2階リラックスゾーン、寝室、子供室を末端動線の位置に配置しました。

さらに高さの違いからの視線による、空間の隔離を行い、平面的な間取りのみでなく立体空間での間取りも重要視し、 多作業ゾーンは同フロアーに多く配置し、各動線の途中に末端を設け、全体的に見ると樹木の枝先に実がなっているようなイメージになっています。

また間取りに合わせて床材を、タイルや杉板などで室ごとのイメージを変えたため、 さらに視覚的に区別ができ、また段差が確認できるよう 床材の色や模様・大きさで認識できるように仕上材料の種類も考慮しました。

ニッチや棚・収納なども、同様に各ヶ所で機能に合わせ考慮し、 作業空間とショー的な空間を演出しました。

設備的にも間取りや用途に考慮し、1階パブリックゾーンとワークゾーンは、全てテラコッタタイルの床全面低温床暖房を採用しています。

2階・中2階のプライベートゾーンは裸足で生活することが多くなるという間取り用途から、杉床を採用したため、また就寝する場所という用途からも、床暖ではなくパネルヒーターを設置しています。

洞穴的リラックスゾーンは使用目的の雰囲気から、一段下がった位置に配置していますが、 ここに薪ストーブを暖炉風に設置し、 火を見ながらくつろげる、人間的なやすらぎの空間を演出しました。

立体的に大きく分けて、1階は人が集う空間、2階は完全プライベート空間となっています。 そして『プライベート空間』と『集う空間』をつなぐのが中2階スキップ階になります。

1階を平面的に分けると
お迎えゾーン(クローク・WC・手洗い・風除アプローチ)
男性ゾーン(薪ストーブ・洞穴空間)(静かにグラスをかたむける男の空間)
女性ゾーン(キッチンとのつながり)(キッチンに立つ女性のためのパーティーゾーン)
収納ゾーン(スキップ階・階段の下にある、土間床の大収納)
スパゾーン(露天付き家族がたのしい空間)に分けられます。

2階を平面的に分けると
夫婦寝室(壁面収納のための大型ニッチとウォークインクローゼット・吹きぬけ)
子供室2室(ニッチ付き・半吹抜け・小さい子供のために建具はあえて設けず)
書斎(2階ホールの吹抜け空間に設け、中2階や1階の確認、声がとどく位置とした)
中2階(キッチン・2階とも見ることが出来、1階からは見ることは出来ないが顔を上げれば会話が出来る位置とした)

内部・外部のつながりは計5ヶ所のつながりがあります。

1. 木製テラス : 1階の中でもっともフットワークの良い空間であるキッチンカウンターにつながる動線、外部でバーベキューをしたとき、男性ゾーン・女性ゾーンともにデリバリーできる位置空間になっており、テラスがわに大きく開けた庭空間は沢沿いにある公園の遊歩道と一体になり、アウトドアを演出しています。

2. 玄関 : 欧米のアプローチを意識した外観のため玄関庇を造らず、玄関全室(風除)を大きく自転車等の収納も考え余裕の空間とした、また人が多く集うことを考慮し住居には多少大きめのクロークを配置し玄関を囲むように壁面収納、ニッチとしました。

3. 裏口 : ここは子供さんが汚れたままでも直接室内に入れるよう、スパゾーンの動線内に位置し、洗濯機、ワークカウンター・SKにつながるようにしました。

4. 風呂露天 : 風呂で外の空気に触れてみたい、空を見たい、雪に触れたいなどなど ご主人の強い要望から実現した夢の空間、奥様などにも考慮し外部視線からは シャットアウトしていて、この後パーゴラ等の予定あります。

5. 保冷庫 : 気密性・断熱性が非常に高い計画で施工されているため、昔の家ではよくあった寒いところがなく、保存食材の貯蔵場所として利用できます。また、留守の時でも宅配が届く様、外部側内部側に断熱扉を設けました。また、ご両親からのもらい物も自然に入っていることもあると言います。