作品紹介

作品集

記念写真

時を紡ぐ家

設計者
小西永高
用途
戸建住宅
竣工
2008年
基礎断熱
PSF(3種)105mm
壁断熱
GW換算 140mm
屋根断熱
GW換算 240mm
写真を見るとリユースされた増改築のように見えますが、実際には新築です。
使用材料をリユースしました。
その計画は、依頼主様であるM様当時のご自宅(昭和的な日本建築の借家)にお邪魔した時から始まりました。
センスが良い喫茶店や雑貨屋さんのようなご自宅に招かれ、セルフビルドで内装を手がけたと言う壁や床を見せていただきました。
こだわりのアンティーク小物や古い建具などを利用したいとのお話。

デザインはあまり重厚な感じではなく、
昔、おばあちゃん家にあったと言う感じ。

日本のアンティーク建具のため、サイズが高さ1800mmです。比べて現在多く使われている建具は高さ2000~2300mmのため、現在の建築サイズをそのまま当てはめるとバランスが悪くなります。
そのため基本設計や構造設計の段階から建物、全体を含めた高さのバランスを考えなければいけません。
出来上がりのデザインを頭に浮かべながらの細かい検討が必要です。
使用するアンティーク建具にはデザイン系統が何種類かあり、それをうまくまとめる必要がありました。

この計画は新築でありながらリユース、それがデザインの基本ともなるのです。建具は高さが天井に近くまであれば縦スリットの効果で天井高が高く感じます。
現在新築される一般的な天井高さは2400mm程度、2000の建具をつけると建具上から天井まで400の壁が残りバランスが良い。
昔の天井高は2200~2300程度、1800の建具をつけると建具上から天井まで400の壁が残りこれもバランスが良い。
しかし、一般的な天井高2400mmにリユースされた1800mmの建具をつけると、建具上から天井までが残り600の壁。
これでは天井が低く見えてしまうどころか建具自体が貧弱に見えてしまう。

リユースでのデザインは貧弱に見えてはいけない、時をつむいだおばあちゃんのしわは貧弱には見えないはずです。
『侘び寂び』のデザインバランスは時の重さが必要です。そのため、初期計画から内外とも高さのバランスを重視した設計にしました。

アンティークな重厚感や落ち着いたバランスを持たせた外観バランス(昔の建物は低めが多い)とするため、あえて、階高(1階と2階の柱)低く抑えることをおこないました。
(窓やドアがマグサ下に入る限界まで下げる高さ約1800mmの柱)しかしそれだけでは室内の天井高が低くすぎて圧迫感があります。
そのため、床面を下げることでクリアーします。
ただし、建築基準法には外の地盤面からの居室の床高が規制されています。また、最低の天井高さも2100mm以上と規制されています。
そのため、居室で無い部分(廊下などや浴室、UTなど)は、床の高さを下げ、居室部分は吹抜け(梁の入れ方を工夫)として天井高を確保し開放感を持たせました。
アンティークなデザインと『侘び寂び』リユースを取り入れた設計としております。